田中脳神経外科病院|東京都指定二次救急医療機関|練馬区

Neurosurgery

脳神経外科

-脳神経外科

脳神経外科とは脳・脊髄・末梢神経を含むすべての神経系およびそれらに関連する骨・筋肉・血管などの疾病の予防・診断・手術を含む総合的治療・リハビリテーションなどに積極的に関与する医学専門領域の事です。脳卒中や頭部外傷などの救急疾患、また脳腫瘍に加え、てんかんやパーキンソン病、三叉神経痛や顔面けいれん、小児奇形、脊髄・脊椎・末梢神経などの病気が対象となります。当院では脳神経外科専門医が最新のCT・MRIを用いて診断を行い、適切な治療や予防を行わせていただいております。また必要に応じて他の専門医への紹介、転医を行っております。脳は一度傷つくと完全には元に戻ることがないため、予防と早めの治療が必要です。

脳卒中とは一般的に、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血、脳動静脈奇形に伴う出血のことをいいます。心臓の不整脈が原因で起こることもあります。脳卒中を起こさないためには血圧や血糖値などの厳重な管理、禁煙などを日頃からしなければなりません。脳卒中は緊急疾患です。

▼主な症状

  1. 顔(笑うと口や顔の片方がゆがむ)
  2. 腕(手のひらを上にして両手を前方にあげ5つ数える間に片方の腕が下がる)
  3. 言葉(うまくしゃべれない、言葉が出てこない)

また、突然の頭痛(激痛)・嘔吐といった症状がでます。このような症状が出た場合は、我慢せずにすぐに病院を受診しましょう。

悪性脳腫瘍には、主に、脳実質から発生する神経膠腫(しんけいこうしゅ)と、体の中にできた「がん」が脳に転移してきた転移性脳腫瘍があります。その他、脳から発生した悪性リンパ腫や、胚細胞腫瘍などがあります。一般的に脳腫瘍が大きくなると、頭蓋骨に閉じられている脳が徐々に圧迫され、脳圧亢進症状を呈します。代表的な症状は 頭痛 ・ 嘔吐 ・ うっ血乳頭 であり、特に朝方に発生する頭痛が日増しに増強したり、嘔吐するとしばらくは楽になる症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

脳梗塞とは、脳動脈が狭くなったり(狭窄)、塞がってしまったり(閉塞)して、必要な血液を得られない脳組織細胞が死んでしまう疾患です。障害された部位によって様々な神経症状をきたします。脳の細胞はほとんど再生しないので、脳梗塞で失われた機能は取り戻せません。実際に寝たきりの原因疾患の第1位であり、発症予防とともに、早期リハビリテーションによるADL向上、社会復帰が重要となります。脳梗塞に特有な症状というものはありません。症状だけでは脳梗塞と、脳内出血の区別は困難です。

▼主な症状

  1. 意識障害(ぼっーとする程度の軽いものから完全になくなってしまう重いものまで様々です。)
  2. 半身麻痺(障害された脳と反対側の手足に力が入らなくなります。)
  3. 半身感覚障害(感覚がなくなったり、しびれがきたりします。)
  4. 言語障害(口がうまく回らなかったり、つじつまが合わなくなったり、言葉が出てこなくなります。)
  5. 視野障害(片側が見えなくなったり、物が二重にみえたりします。)
  6. 動作の異常(いつもできていることができなくなったりします。)
  7. 体や手足のバランス障害(歩いているときにフラフラしたり、手足を思ったところにうまく運べなくなります。)
  8. 頭痛、めまい、嘔吐

脳梗塞の原因はやはり動脈硬化と心臓の問題です。起こさないようにするためには動脈硬化の原因となる、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの厳重な管理が必要となります。また禁煙・飲酒量の制限も必要です。脳梗塞の大部分は点滴・内服治療が中心となりますが、その中には手術をすることで悪化を防げる場合があります。

くも膜下出血とは、脳表と脳を覆うくも膜との間 (くも膜下腔) に存在する動脈が破れ、くも膜の下に出血が広がった状態のことを指します。約80%が脳動脈瘤の破裂によるもので、この場合、非常に急速かつ重篤な経過をたどることが多く、死亡や重度後遺症を残す割合が多いです。 脳動脈瘤が破れると、バットやハンマーで殴られたような “ 突然の激しい頭痛 ” におそわれ、悪心・嘔吐・意識障害・けいれん を起こし気を失ってしまいます。くも膜下出血は、50才前後の働き盛りの人々に好発する重篤な病気であることから、最近では、MRIや3次元CTを用いた非侵襲的脳血管造影検査により、破裂する前に脳動脈瘤を発見しようとする脳ドックが、さかんになって来ています。

軽微な打撲から重症頭部外傷、さらに小児から高齢者にいたるまで対応しております。頭部外傷後の意識消失以外にも外傷前後の状況が思い出せないことや、頭痛、めまい、耳鳴り、悪心などの症状がある場合、脳振盪である可能性があります。これらの症状は通常、2週間以内に改善しますが、3か月以上症状が続く場合は脳振盪後症候群と診断されることがあります。この場合、スポーツの継続等に問題をきたすことがあります。

顔面けいれんは顔の半分が自分の意志とは関係なくピクピクする病気です。通常、目のまわりから始まり、徐々に口元へ広がっていきます。更に進行すると、まぶたと口元が同時に引っ張られ、顔が曲がったり、マヒして動かなくなったりします。ストレスや精神的な緊張により強く症状が出ます。重症になるとけいれんが持続し、顔が歪むことがあります。中年以降の女性に多く見られます。原因は、頭蓋内の延長や蛇行した血管が顔面神経を圧迫し脱髄を引き起こし、異所性神経興奮による顔面筋の不随意収縮により発症しますが、脳腫瘍などの病気が原因で生じることもあります。従って専門的な検査を受ける必要があります。薬の内服やボトックス注射による治療を考えますが、これらは神経の圧迫を解除する治療ではないため、全快にはつながりません。根本治療は、顔面神経を圧迫している血管を神経からずらすことです。手術は全身麻酔で行います。多くの方は、手術後早期に症状が改善しますが、1〜2年かけて症状が消える場合もあります。

Spinal Cord Stimulation

脊髄刺激療法

「その痛み 緩和できるかもしれません」

-脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation: SCS)

慢性難治性疼痛をやわらげる治療法

当院では新たに脊髄刺激療法が可能となりました。脊髄刺激療法は難治性疼痛に対するニューロモデュレーション治療の一つです。ニューロモデュレーションとは神経系に生じた機能異常に対して、障害部位に直接薬剤や微弱な電流を流して神経活動を変化または調節する技術のことです。

脊髄刺激療法(せきずいしげきりょうほう)

脊髄刺激療法(SCS)は脊髄に微弱な電流を流して、痛みを和らげる外科的治療です。この治療では体内に刺激装置を植込む前に、試験的に電極リードを留置して効果を確かめることができます。効果がある場合に刺激装置などの機器を植込みます。海外では40年前から実施され、国内でも健康保険の適用となっている治療です。これまでに世界で35万人以上、国内でも6000人以上がSCSの治療を受けています。SCSは電極リードを脊髄の外側の脊髄硬膜外腔に“置いて”脊髄を電気で刺激するので、神経(脊髄)を傷つけることのない治療です。

使用する機器

①電極リード

脊髄硬膜外腔に留置して刺激装置から発生した電気を脊髄に送ります。

②刺激装置

治療用の電気を発生させます。

③患者用コントローラ

衣服の上から刺激装置のオン-オフの切り替えや強弱の調整を行います。

効果のある痛み

  • 脳卒中(脳出血や脳梗塞など)後の痛み
  • 脊椎、脊髄疾患(脊柱管狭窄症など)による痛み
  • 脊椎手術後に残存する痛み
  • 腰痛
  • 帯状疱疹後の痛み など

脊髄刺激療法の効果

痛みを和らげることが期待できます。痛みの原因を取り除く治療ではありません。SCSを受けた患者さんの半数以上の方で、痛みが5割以上改善しています。患者さんによって効果が異なるので、試験刺激(トライアル)によってどの程度痛みが和らぐのか、試す必要があります。痛みがやわらぐことで、運動がしやすくなる、眠れるようになる、余暇が楽しめるようになるなど日常生活の活動の幅が広がります。

治療の流れ

1.外来受診

  • 診察をし、手術(トライアル)を行うかどうか診断します。
  • 手術内容や手術のリスクなどを説明し、同意を得た上で治療を計画し、治療の目標を決めていきます。

2.入院

① 局所麻酔下に電極リードを脊髄硬膜外腔に留置します。

② 数日から1週間程度、試験刺激をおこない、効果を判定します。

③-1 植え込みを希望される場合
  刺激装置の植え込みを行います。

③-2 植え込みを希望しない場合
  電極リードを抜去します。

④ 機械の操作法などを覚えていただき、1週間程度で退院

脊髄刺激療法の合併症やデメリット

  • 手術で後遺症となるような重篤な合併症は希です。
  • 手術の合併症として感染症、皮下血腫の可能性があります。感染した場合、植込んだ機器を除去しなければいけないことが多いです。
  • 植込まれた機器の破損やリードの位置のずれが生じることがあります。
  • 植込む機器の種類などによってMRI検査が行えない場合があります。
  • 医療機器や治療で併用できないものがあります。
 

副院長 脳神経外科
小林一太

医学博士
日本ニューロモデュレーション学会評議員
関東機能的脳外科カンファレンス世話人
日本脳神経外科専門医
臨床研修指導医
日本臨床神経生理学会専門医・指導医
日本臨床神経生理学会術中モニタリング認定医
日本定位・機能神経外科 技術認定医

「その痛み 緩和できるかもしれません」

感覚を伝える神経のどこかが傷ついたり、機能障害を起こしたりすることで感じる痛みを神経障害性疼痛といいます。神経障害性疼痛は適切な疼痛緩和治療をされても十分に疼痛緩和が得られないことが少なくありません。痛みが長期間続くと、生活の質(QOL)に大きな支障をきたしてきます。

脊髄刺激療法(SCS)は難治性疼痛のうちで、神経が傷ついて起きる痛み、例えば、脳血管障害後の痛み、脊椎・脊髄疾患による痛み、腰痛などに効果があります。脊髄刺激療法は試験刺激(トライアル)で効果を判定してから機器を慢性的に植込むかどうか判断することができる治療法です。

トライアルはごく小さな傷で行うこともでき、負担の少ない小手術で行います。電極を脊髄の表面に「置いて」治療するので、神経を傷つけない治療法です。従って、満足できる効果がなければ、電極を抜去することで元の状態に戻すことができます。脊髄刺激療法は生活の活動の幅を広げることが期待できる治療法です。

 
 
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